49
70歳で絵を始め、88歳で豆人形作家としてデビュー、国内外で注目
を浴びた故マサコ・ムトーさん、講演などを通して、その前向きな生き方
と人間の可能性を伝え続けるご息女のヒロコさんに、お母様が残した言
葉を交えつつ、その人生を振り返っていただいた。
いいところを抜粋します。

{物言わぬ馬鹿になりなさい}

鉱山技師だった私の父は、松山藩の家老の血を引いて、よく言えばと
ても男っぽい人、半面、気位は高くワンマンで、「こらっ」と睨まれると、家
族は体がすくんでそこから何も言えなくなる。母に許された自由は週に一
回、日曜日に教会に礼拝に行くことだけでした。

夫婦の会話は50年間、「はい」「そうですか」「そうですね」の三言だけ、
母は父からどんな理不尽なことを言われても「でも」とか「いいえ」と口答え
したことが一度もなかったといいます。というのも、母は結婚するとき、お姑
さんに、
「この家の嫁になるならば物言わぬ馬鹿にならなさい」と言われて、それ
を50年間守り通すんですね。

「私は馬鹿やったからね。馬鹿でいいんだったら楽やなと思って嫁に来
たんだよ」と、私には笑って話していましたけれども。
それで私は小さい頃、結婚ほど理不尽なものはないとずっと思い続けて
いました。
ーー省略ーー
母の残した言葉があります。

「悪口を言うと十倍利子がついて返ってきます。払えないので言いません」

「大したことじゃあない!大したことじゃあない!大したことじゃない!三度
唱えれば大抵のことはそうなります」

「たいせつな涙は嬉しいときにとっておきませう」變遷的光陰 雨季的聲音 一朵自強花 不過是一場夢 落淚皆是傷痕 ruinwu Sad all is sad Not go back Green face loeroui